2022年1月15日に福岡市立中央市民センターホールで開催した「ベトナム人技能実習生リンさんの無罪判決を求める支援集会in福岡」の様子です。
内容:
1.基調講演 「外国人労働者と日本社会 ~ベトナム人技能実習生リンさんの刑事裁判から見えるもの~」望月 優大 氏
2.裁判報告 石黒 大貴 弁護士(リンさん刑事裁判弁護団主任弁護人)
3.各地の支援団体・支援者からのアピール
事件の概要と熊本地裁判決に至る経緯:
2018年8月ベトナム人技能実習生リンさんは150万円の借金をして、熊本県内のミカン農家に技能実習生として来日しました。来日後1年半ほど、リンさんは休日もなしに借金を返すために働き続けます。そして、パートナーと交際し、妊娠していることに気が付きます。しかし、「妊娠が監理団体や雇用主に知られたら、帰国させられる」という恐れから、誰にも相談できず、2020年11月15日一人で住んでいた民家の居室で双子の赤ちゃんを死産しました。出産の痛みと死産のショックの中で、二人の子どもの遺体をタオルで包み、名前を付け、弔いの言葉を添えて、箱に入れて近くにある棚の上に安置して一晩を一緒に過ごしました。そして、翌日病院へ雇用主らに連れていかれ、病院の医師に妊娠-出産の事実を認め、医師が、警察へ通報します。リンさんは、死体遺棄容疑で、2020年11月19日に熊本県警に逮捕され、マスコミにより全国報道されます。同年12月10日熊本検察庁が起訴、2021年7月20日熊本地裁は、「死産をまわりに隠したまま、私的に埋葬するための準備であり、正常な埋葬のための準備でないから、国民の一般的な宗教感情を害することは明らかである」として、「懲役8月、執行猶予3年」の有罪判決を言い渡しました。
熊本地裁判決の問題点と、なぜリンさんは無罪であると主張するのか:
しかしながら、誰にも相談せずに孤立出産することや死産することは、それ自体犯罪ではありません。リンさんのような孤立出産せざるを得ない女性は、刑事罰ではなく社会福祉の対象として保護されるべきです。さらに判決は、リンさんは「私的埋葬行為」を行っていないにもかかわらず、その準備行為であるとして有罪と判断していますが、刑法190条死体遺棄罪には予備罪はなく刑法の大原則の罪刑法定主義に反します。リンさんが罪に問われているのは、双子の遺体と一緒にいたわずか1日程度の時間しかありません。これまで死体遺棄罪で有罪が認められた過去の判例でも、1年半以上の長期間放置したケース以外は、遺体から離れないでいた場合に有罪が認められたことはありません。しかも、墓と埋葬に関する法律は、死産の場合には、(蘇生の可能性があるため)24時間の埋葬を禁止しています。判決は死産当日リンさんがどうすれば死体遺棄罪に問われないのかについて何も判断していません。これでは、この判決が確定すれば、孤立出産する外国人技能実習生や日本人女性だけでなく、病院外で流産や死産した女性は、警察が死体遺棄を疑えば逮捕され、マスコミに実名報道され、検察や裁判所がそれを追認すれば、「国民の一般的な宗教感情を害する」犯罪者として、刑事罰で罰せられることになります。
控訴審判決前のリンさんの無罪判決を求める支援集会へご参加ください:
リンさんは、「子どもの遺体を傷つけたり、隠したり、放置していない」として1審段階から一貫して無罪を主張しており、この判決を不服として福岡高裁に控訴しました。2022年1月19日に控訴審判決が予定されています。私たちは、控訴審判決で、福岡高等裁判所が一審判決を破棄し、リンさんに無罪の判決を言い渡すことを求めて支援運動をしています。
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